韓国での解雇

1. 解雇の種類

韓国における解雇には通常解雇、懲戒解雇、整理解雇の三種類があり、その他勧告辞職、名誉退職がある。

2.「通常解雇」はどのような場合にすることができるのか。

①負傷や病気などで勤労者が客観的に正常な業務遂行ができない、または②廃業、解散などで使用者が事業をこれ以上行えない場合にすることができる。

勤労者が勤労関係をこれ以上持続できない程に達しなかったのに通常解雇をした場合、これは不当解雇に該当する。

3.「懲戒解雇」はどのような場合にすることができるのか。

「正当な理由」がある場合に限り解雇することができ、「手続き」もやはり正当でなければならない。ただし、5人未満の事業場では一ヵ月前の通知で自由に解雇することができる。

韓国で懲戒解雇が認められる範囲は非常に狭い。重大な不法行為をしたり事業体の運営をわざと妨害するなどの特別な事情がない限り、判例は解雇の正当性をあまり認めない。単純に業務能力が不足しているという理由やミスで会社に損害を負わせた程度では減給や停職などの懲戒理由にはなるかも知れないが、解雇理由とすることは難しい。判例は解雇を最後の手段として見ているためである。

4.「整理解雇」はどのような場合にすることができるのか。

緊迫した経営上の必要がある場合には、一定の手続きを踏んで帰責事由がない勤労者を解雇することができる。

緊迫した経営上の必要とは、事業場の経営危機を避けるために多数の雇用調整が必要な場合をいう。必ずしも会社が倒産危機にある必要はなく、競争力回復に対処するための作業形態の変更、または生産力向上のために人員縮小が合理的に必要な場合も含まれる。

手続き要件も遵守しなければならない。①勤労者代表に50日前に通知し誠実に協議しなければならず、②解雇回避努力を行うことが必要であり、③合理的かつ公正な基準によって解雇対象者を選定しなければならず、④30日の解雇予告期間も遵守しなければならない。

実務上、主に問題となる部分は②十分な解雇回避努力を行ったのか、③解雇対象者を合理的かつ公正な基準によって選定したのかである。②解雇回避努力と関連して新規採用の禁止、希望退職の活用、有給・無給休職の実施、勤労時間の短縮、一般管理費の削減など、可能な全ての措置を取らなければならない。③対象者の選定基準について勤労者代表と誠実に協議しなければならず、職級別解雇人員数を定め勤務成績が悪い職員を対象にするなど公正な基準を適用しなければならない。

5.「職」または「名退職」はどのような場合にすることができるのか。

勧告辞職とは、使用者が個別勤労者に退職を勧め、勤労者がこれを受け入れて辞職願いを提出する場合をいう。当事者間の意思の合致により勤労契約が終了するため解雇ではない。勤労者は会社の勧告により辞職願いを提出したのであり、自発的な離職ではないので失業給与を受けることができる。勤労者に勧告辞職を受け入れる義務はないため、会社は勧告辞職拒否を理由に勤労者にいかなる不利益も与えてはいけない。辞職を勧告して一定の慰労金を一緒に提案したりもする。

名誉退職とは、使用者が一定の退職条件を多数の勤労者に提示し、これを受け入れた勤労者らと合意によって勤労関係を終了する場合をいう。韓国では解雇が制限された範囲でのみ認められるため、企業で構造調整の手段として多く利用される手段である。整理解雇を実施するための前段階として行われたりもする。勤労者の退職を誘導するために一定の慰労金支給条件を一緒に提示することが一般的である。

6. 解雇をするにはどのような手続きを踏まなければならないのか。

30日前に予告をしなければならない。予告をしなければ30日分以上の通常賃金を解雇予告手当として支給しなければならない。解雇は書面で行わなければならない。就業規則や内部規定によって懲戒委員会を開催するなどの解雇手続きが定められていれば、これを必ず遵守しなければならない。

ただし、通常解雇の場合には社会通念上、勤労関係をこれ以上持続できないと見るほどの客観的理由が存在するならば、上記のような手続きを踏む必要はない。

7. 勤者が解雇をえばどうなるのか

勤労者は解雇通知を受けた日から3ヶ月以内に地方労働委員会に不当解雇救済申請をすることができる。地方労働委員会の決定に対しては、決定書の送達を受けた日から10日以内に中央労働委員会に再審を請求することができる。中央労働委員会の決定に対しては15日以内に行政裁判所に行政訴訟を提起することができる。

行政手続きである不当解雇救済申請とは別に、解雇無効確認訴訟と解雇期間中の賃金相当額を請求する民事訴訟を提起する方法もある。勤労者は通常、不当解雇救済申請をする場合が多い。不当解雇救済申請の手続きが簡単であり勤労者にとって有利に決定される場合が多いためである。

不当解雇と認定されれば、解雇期間の間の未払賃金を全て支給しなければならず、当該職員を本来の役職で復職させなければならない。勤労者が復職を望まない場合には、所定の慰労金を追加で支給し関係を終了する場合もある。

8. 修習期間を置けば修習期間中には自由に解雇できるのか。

修習期間中でも正当な理由がなければ解雇することができない。ただし、1ヶ月前に解雇予告をする必要はない。

修習期間中に正当な理由は多少幅広く認められるが、少なくとも①修習期間中の評価が客観化かつ数値化された基準に基づいたものであり、②基準が事前に告知されており、③評価が定期的に実施され、④フィードバックも行われ、改善策も指導したにもかかわらず基準に達しない場合であり、更に客観的かつ合理的な理由がなければならない。

修習期間はテスト期間ではない。少しの間仕事をしてみて、合わないからといって辞めさせることはできない。修習期間は「既に正規職として採用した状態で新しい業務に適応する期間を付与するもの」だけであるためである。修習期間を業務適期間でなくテスト期間として運用する意ならば、修習期間に対し契約期間を設定し「契約職勤契約」を締結し、期間終了後に継続雇用の可否を判するのが望ましい。

9. 定年はいつまでとすべきか。

満60才以上で定めなければならない。別途期間を定めずに一般正規職として採用したとすれば、会社は定年を保障する義務がある。韓国で解雇は正当な理由がある場合にのみ許される。

10. 職員は自由に退社することができるのか。

自由に退社することができる。強制勤労は禁止されているためである。

ただし、退職通知をした日から1ヶ月後に退職の効力が発生する。一般的に就業規則や勤労契約において辞職をする場合は、その30日前に辞職の意思表示をするように定める場合が多い。辞職通知期間をさらに長期間に定めてもそれは効力を持たない。職員が辞職通知後30日が経つ前に任意に出勤をしない場合、無断欠勤に該当するため、これによる責任を問うことができる。